メタバースの基礎知識

目次

「メタバース」とはなにか!?

メタバースが注目を浴びはじめたのは、2000年代はじめに話題になったデジタルサービスのSecondLifeがきっかけです。その後、映画の「マトリックス」や「レディ・プレイヤー1」、アニメでは「ソードアートオンライン」など、メタバースを舞台にした作品が数多く生まれはじめています。映画やゲームのなかで語られることが多かったデジタル仮想世界がまさに現実を超えて広がりはじめた状態です。ここ最近では、フェイスブックの社名変更から急激に注目を浴び始めました。

メタバースという言葉は、超越したという意味のメタ(Meta)と宇宙(Universe)を組み合わせた造語で、元々は、SF小説『スノウ・クラッシュ』(1992年刊行)著:ニール・スティーブンスンのなかで登場しました。

メタバースは、デジタル上での仮想空間で、プレイヤー(参加者)はデジタルデバイス等を使用して空間に入り、自分が仮想空間内で行動をするアバターを選び、年齢や性別、人種などの属性に影響されることなく、会話やゲームなどさまざまなコミュニケーションを取ることができます。

仮想空間でのコミュニケーションとなるため、世界中どこにいる人でもコミュニケーションをとることができ、会議やライブなどをに参加して楽しむこともできます。

また、メタバース内に自ら世界をつくることも可能で、誰かがつくったVR世界を訪れたり、旅したりすることも可能です。「Meta Quest 2」を代表とするVRゴーグルも進化しており、メタバースが急激に広がっています。

アメリカ金融大手シティ・グループは、メタバース経済圏が2030年までに8兆〜13兆ドル(約800〜1600兆円)に達する可能性があると発表しています。またメタバースのユーザー数についても50億人程度になる可能性も示している。

今後更にメタバースは注目されていくことが予想されています。

メタバースのメリットデメリット

メタバースは将来性があり、これから進化し世の中を良くしていきますが、良い面があればその裏には悪い面もあります。メタバースのメリットデメリットについてもまとめたいと思います。

メタバースのメリット

SNSやWeb情報よりも得られる情報量が多い

メタバースは3Dモデルの仮想空間を構築することを基本としています。そのためSNSやHP上の情報よりも、多くの情報を得ることできます。

新しいビジネスチャンスがある

メタバースゲームで有名なザ・サンドボックスでは、メタバース内の土地が4億円で販売され世界を驚かせました。仮想空間の土地を売り買いしたり、メタバース内で作成したものを販売したり様々なビジネスチャンスが転がっています。

多くの世界的企業が投資や出資を行いはじめています。実際にバーチャル店舗の活用や、デジタルコイン(仮想通貨、トークン)を利用した取引等はスタートしており、新たな経済圏としても期待できます。将来は現実世界よりもメタバースの仮想空間の方が、大きな経済圏として発達していく可能性もあります。

非現実的・非日常の体験ができる

現実世界では、できないことを体験できるのがメタバースです。自分の家から世界中を旅したり、芸術や音楽イベント、スポーツイベントなどに参加することも可能です。空を自由に飛んだり、自分の好きなものをつくったり、好きなところに行ったり様々なことが可能です。仮想世界内でゲームの主人公となり、冒険を楽しむこともできます。

メタバースのデメリット

内容によっては費用がかかる

メタバースを本格的に行う場合は、VR機器の導入とメタバースを問題なく体験できるPCの性能及び高速なインターネット環境が必要です。

メタバースを楽しむために費用がかかってしまうため、敷居が高いと感じてしまう方も多いのではないでしょうか。まずは、スマフォからメタバースプラットフォームを体験できるものもリリースされているので、自分が入りやすいところから進めて徐々に慣れていくことが良いかと思います。

ハラスメント・法律の整備が遅れている

メタバース(仮想空間)は国を越えた空間のため、世界中の様々な人々が集まります。各国で法規制が異なるので、なにか問題が起きたときに、どの国のどんな法律が適用されるかなど、まだまだ定まっていないのが現状です。法整備をしていかないと、悪いことに利用したり、詐欺まがいのことが頻発する可能性があります。また、メタバースプラットフォーム内でも、現実世界のいじめ、SNSいじめと同様のことが起こります。

VR体験は没入感が高いため、ハラスメントもリアルに感じられるというデータもあり「性的な言葉をかけられる」「不適切なアバターを見せられる」「メタバース内で男性アバターに集団で取り囲まれ怖い思いをした」などのことが起きています。

メタバース上では、老若男女が、様々な現実の世界の制約を超えて、自分のなりたいアバターとして活動できる素晴らしい面がある一方、仮想の世界だからとはめを外してメタバース上での人権侵害やハラスメントが発生することもあります。

子供の「課金」と「出会い」

課金のリスク

メタバースプラットフォーム、NFTゲームには、様々な有料アイテムが存在します。メタバースやゲームに熱中するあまり大きな金額が課金でとられてしまったということが起こってしまいます。有料アイテムが存在するメタバースを行う場合は、課金について事前に話し合いをしておくことが重要です。スマホのフィルタリング機能等で課金を制限しておくと安心です。

出会いのリスク

メタバースのリスクのひとつに、ネットを通じた出会いがあります。韓国発祥のメタバースプラットフォームであるZEPETOでは2020年に33歳(当時)の会社員の男が小学1年生の女児と知り合い、メッセージ機能でわいせつな画像を送らせたことで逮捕されたということもありました。メッセージなどのやり取りについても注意しておく必要があります。

現実世界のコミュニケーションが薄くなる

コミュニケーションの場のメインがメタバースになってしまうと、現実世界の時間を大切にせず、メタバースに依存してしまう可能性があります。実際にゲームにはまりすぎて現実世界と仮想世界がわからなくなってしまうケースも実際に出てきています。特にお子さんがいる場合は、メタバースやゲームなどの接し方については考えて進めていく必要があります。

メタバースでできること

世界中の人とつながる

仮想空間上で、世界中の人と会ってコミュニケーションができます。もちろん言語の壁はありますが、(VR空間内も含めて)場所を選ばずリアルタイムでつながれることはメタバースのとても大きな魅力の一つです。

オンラインゲーム

「メタバース」とは、オンライン上で他者と交流できる仮想空間のことで、ゲームと相性が良いことが知られています。「あつまれ どうぶつの森」や世界中で大人気の「フォートナイト」「ポケモンGo」などが広くプレイされており、これらはメタバースに含まれます。

「あつまれ どうぶつの森」は用意されたシナリオ通りに進めるのではなく、自分の部屋をアレンジしたり、他者と交流したりすることができます。「フォートナイト」はシューティングゲームですが、他のプレイヤーとチャットしながら進めることもできます。

ゲームにメタバースを取り入れることで、他者とリアルなコミュニケーションを取ることができ、コミュニケーションの活性化につなげることができます。

災害等のシミュレーションにも効果的

メタバースでは、現実に近い世界を体験することができます。地震などの災害が起きた場合にどのようなことが起きるのか、災害が起きた時の対処法はどのようにしたら良いかということも体験することができます。

採用・教育もメタバースを活用

採用や教育業界でもメタバースは利用されはじめています。

木村情報技術がメタバース空間による新卒採用活動を開始 オンラインだけれどリアルに近い! 

ビジネスでも活用が広がる

ミーティング・会議はメタバースで行う

メタバースはビジネスの場でも注目を集めています。仮想空間の中でオフィスを作成し、アバターの姿で会議に参加することも可能になってきています。現実社会と同じように、オフィスがあり、オフィス内をアバターでまわりながら、オフィスにいる仲間に相談を気軽にすることが可能です。仮想空間内でホワイトボードを使って参加者に説明したり、Zoomと同じような機能があったりととても使い勝手がよくなってきています。

メタバースのミーティングについては、学研グループが行っている「MetaLife」が無料でできるのでお勧めです。累計スペース数が30,000スペースを突破し多くの企業で導入されています。

MetaLife公式HP: https://metalife.co.jp/

事前にメタバース内で製品の生産工程をチェックできる

 近年は、様々な今までにない商品が開発されています。例えば自動車業界でみると電気自動車やMaaS(次世代移動サービス)、自動運転など、従来とは違う価値観、新しい付加価値のある製品が求められています。そのため、今までのガソリン自動車などの作成工程が通用せず、新しい製造手法の確立が必要とされています。

 ここで注目されるのが、生産ラインの事前シミュレーションです。メタバース内で事前に作成工程をシミュレーションすることで、より効率的な生産ラインの構築が短時間で可能となります。メタバース内でシミュレーションを行ってから工場を建設することで、建設コストも抑えられます。巨額の費用と時間が必要だった工場建設の概念を根本から変える可能性を秘めています。

 自動車業界は市場規模が大きく、関連企業や協力会社、下請け企業で働く人の数も多く存在します。自動車の生産・開発でメタバースを本格的に活用することで、製造業全体のモノづくりも大きく変化していくことが予想されています。

メタバースの今後を予想

第1段階:先進のメタバース(~2024年)

2024年までは、直接的なビジネス・チャンスは限定されると考えています。市場では、長期的な高い価値を持つアプリケーションの実験が始まっています。

第2段階:高度なメタバース(~2027年)

2024年から2027年にかけて、メタバースの直接的なビジネス・チャンスが増加すると予想します。その多くは、コンテンツ・レイヤ、つまりメタバース自体の情報、基盤に焦点を当てたものになるでしょう。

第3段階:成熟したメタバース(2028年以降)

2028年以降、メタバースのビジョンと潜在能力は、組織と個人ユーザーの双方にとって、より明確で管理しやすいものとなります。第2段階で見出された刺激的なアプリケーションを基盤とし、隣接するテクノロジ (5G、コンピュータ・ビジョン、イマーシブ・テクノロジなど) の成熟によって強化されます。

そのため、成熟したメタバースを実現するために必要なシステムの側面や機能が広く理解されていきます。これにより、大きなビジネス・チャンスが生まれ、革新的で在性のあるシステムのバックボーンを構築するために、ベンダーが競争するようになります。

メタバースを体験できるプラットフォーム・サービス

話題になっているメタバースプラットフォームやNFTゲームをまとめてみました

【好きなアバター姿で世界とつながれる!】VRChat

「Meta Quest 2」などのVRゴーグルを使って気軽に入れるのがソーシャルVRアプリ「VRChat」です。空間内にはさまざまなワールドが用意されており、好きなアバターに着替えて行くことができます。

各ワールドでは、周囲にいるユーザーとボイスチャットをしたり、体を動かしてボディーランゲージでのコミュニケーションを取ったりすることが可能。人狼ゲームができる部屋もあります。現在最も盛り上がっているメタバースの一つです。

マインクラフト

マインクラフトは、マイクロソフトの子会社であるMojang Studiosが提供するオンラインゲームです。

仮想空間内で土や石、木材等を集めて、建物や街などを作ったり、動物を育てたり、知らない場所に冒険に行ったりして楽しむゲームです。決まった遊び方やゴールがなく、自由にプレイできるのが特徴です。他のプレイヤーと協力したり競争したり、アバターを動かすことでさまざまな体験をすることができます。下記Youtubeの”よゐこのマイクラでサバイバル生活はマインクラフト”はマインクラフトを始めるうえで、とても参考になります。マインクラフトに興味のある方は参考にしてみてください。

あつまれ どうぶつの森

「あつ森」こと「あつまれ どうぶつの森」は、2020年に任天堂のNintendo Switch向けゲームソフトです。コロナショックで『おうち時間』が増えたタイミングだったこともあり大流行しました。仮想空間でお金を稼いだり家を建てたりしながら、自分の無人島を作っていくゲームです。釣りや虫採り、ガーデニングなどのアウトドアや、道具や家具のDIYなどさまざまな楽しみ方があります。マインクラフトよりもキャラクターがかわいらしいので女性にも人気です。

ポケモンGo

GPSを使ったゲームでは、Niantic社の「ポケモンGO」があります。スマフォを持って外に出て、ポケモンが出てきたら捕まえるというとても単純なゲームです。ゲームが簡単で、誰でも遊べることから世界中で爆発的にユーザー数が増えました。スマートフォンの画面上には、現実世界の地図が表示され、プレイヤーは自分の位置情報を元に、周囲にいるポケモンを探し出すことができます。現実世界と仮想世界を融合させたメタバースとして約8834億4000万円もの収益が出ていると言われています。定期的にイベントも行われており、今も世界中で人気のゲームです。

フォートナイト(Fortnite)

フォートナイト(Fortnite)はEpic Games(エピックゲームズ)社が2017年にスタートしたオンラインシューティングゲームです。メタバースの理想形とも言われており、フォートナイトが流行ったことでメタバースの認知度が向上したと言っても過言ではありません。現在の登録アカウント数は5億人以上で、日本の人口を大きく超えています。パソコン、PlayStation、Nintendo Switchなど幅広く遊ぶことが可能です。一番人気のバトルロイヤルモードは、最大100人のプレーヤーが巨大な島に集まり、武器やアイテムを収集しながら最後の1人になることを目指します。バトルロイヤルモード以外にも、パーティロイヤルモードがあり、他のユーザーと自由に交流ができます。このパーティロイヤルモードで、歌手の星野源さんや米津玄師さんがオンライン上でのコンサートを行いました。

その他メタバースプラットフォームをまとめた記事はこちらをご覧ください。

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