企業でのメタバース活用可能性
はじめてのメタバース(はじメタ)をサポートする、メタバースアドバイザーのwataruです。
企業界でもメタバースやVRの利用が急速に広がっています。アメリカの調査会社ガートナーによれば、2026年までには世界の人口の約25%が学習や仕事、ショッピング、娯楽などを1日1時間以上メタバース内で過ごすと予測されています。
実際のデータにも裏打ちされており、PwCコンサルティングが行った調査によれば、メタバースとNFTをビジネスで活用する企業の中で、約18%(1085社中198社)が1年以内にメタバースを事業化する計画を立てており、約17%が1年以内にNFTを事業化する計画を持っていることが明らかになりました。
インターネット調査ではあるものの、メタバースが勤務先や企業内で急速に普及する可能性が高いと見込まれています。そのため、将来的にメタバースが広まった際に自身に与える影響を予測し、備えることが重要です。
この記事では、将来的なメタバースの普及による職場や企業への影響についてまとめてみました。現在の職場での影響、転職、独立を考えている方の参考になればと思います。
メタバースがもたらすメリット
メタバースが普及することで、私たちの仕事や会社には以下のような変化が起こる可能性があります。
場所や時間の制約がなくなる
メタバースでは、どこからでもアクセスできる仮想空間で仕事ができます。これにより、出張や移動の必要性が減り、コストや時間の削減につながります。また、リモートワークやフレックス制度などもより柔軟に導入できるようになります。
コミュニケーションの質が向上する
メタバースでは、アバターを通じて相手の表情やジェスチャーを見たり、声を聞いたりすることができます。これにより、オンライン会議ツールなどよりもリアルなコミュニケーションが可能になります。また、メタバースでは様々なコンテンツやツールを共有したり、共同作業したりすることも容易になります。
新たなビジネスチャンスが生まれる
メタバースでは、現実世界ではできないようなことも実現できます。例えば、危険物質の実験や歴史的建造物の見学などです4。これにより、新たなサービスや商品を提供したり、新たな顧客層を開拓したりすることができます。また、メタバースではデジタル通貨やNFT(非代替性トークン)5 などを利用して、仮想空間内で経済活動を行うことも可能です。
メタバース時代の課題
デバイスの普及と性能
メタバースを高い没入感で体験するためには、VR(仮想現実)機器などの専用デバイスが必要です。しかし、現在のデバイスはまだ高価で性能も限られており、一般消費者には普及していません。また、デバイスの操作性や安全性、健康への影響なども懸念されます。
コンテンツの作成と管理
メタバースでは、高品質な3D空間やアバターを作成することが求められます。しかし、これには高度な技術やコストがかかります。また、メタバース内でのコンテンツの所有権や著作権、プライバシーなどの法的な問題も解決しなければなりません。
人間関係やアイデンティティの変化
メタバースでは、自分の好きなようにアバターをカスタマイズしたり、複数の仮想空間に参加したりすることができます。これにより、自分のアイデンティティや価値観が変化したり、現実世界との乖離が生じたりする可能性があります。また、メタバース内での人間関係やコミュニティも、現実世界とは異なるルールや文化を持つことが予想されます。
メタバースプラットフォーム内でのミーティング・会議
メタバースミーティング・会議
メタバース(仮想通関内)ミーティングが当たり前になる
コミュニケーションは、対面→電話→FAX→メール→Zoomなどへのオンラインコミュニケーションへと変化してきました。今までは、Zoomなどのオンラインツールのコミュニケーションは少なかったのですが、コロナショックにより急激にオンラインミーティング・オンライン会議が当たり前になりました。
オンライン会議が日常になったことで出社をせずに仕事ができる環境になりましたが、今後はさらに非対面でのコミュニケーションが増えていくことが予想されます。
Zoom等を利用したオンラインミーティングではなく、カメラで自分を映し出さずに、仮想空間で自分の代わりとなるアバターで、メタバース(仮想空間)内で話し合いをする時代に突入していきます。メタバースでのコミュニケーションには、VRゴーグルがあれば、オフィスや自分の部屋にいる状態で、仕事場にいる感覚になれます。
しかし、VRゴーグルは金額が高く一般の方には購入はまだまだ難しい状況です。これからVRゴーグルがなくてもメタバースが気軽にできる環境が整っていけばZoomが広がったように一気に普及していくと思われます。
メタバース内で行うコミュニケーションの問題点
メタバースでのコミュニケーションでは、デメリットや問題点もあります。
【メタバースプラットフォーム内でのコミュニケーションデメリット】
・アバターでは、リアルの表情が読み取れないので感情が分かりにくい
・メタバース内のアバターが行う動作、ボディーランゲージが現実と同じならない(動作が遅い)
・直接顔が見れず、相手の情報量が少ないため、相手を理解しずらい
・VR酔いしてしまう
・インターネット環境やパソコンのスペックによっては、うまくできない
上記のようなデメリットや問題点もあるため、それを踏まえたうえでコミュニケーションをとることが重要です。
会社のイベントがメタバース上で行われる
会社で行われるイベントや懇親会なども徐々にメタバースで行う企業も増えてきています。ここ最近では内定式や合同説明会などもメタバースでおこなう企業も出てきています。
入社式がメタバース内で行われる!?
株式会社エムティーアイでは、関連会社の株式会社ポケット・クエリーズ(本社:東京都新宿区、代表取締役:佐々木 宣彦)が提供する「iVoRi 360(アイヴォリィ サンロクマル)」を活用して作成した、当社の社内風景を体感できるリアルメタバース内にて2022年4月1日(金)に入社式を開催しました。3DゴーグルもしくはiPadなどのタブレットから参加して、メタバース内のアバターで従業員同士のコミュニケーションを取ることもできるなど新しい時代に合わせた取り組みが行われています。
<メタバース提供:株式会社ポケット・クエリーズについて>
社名 :株式会社ポケット・クエリーズ
所在地 :東京都新宿区
代表者 :代表取締役 佐々木 宣彦
設立 :2010年8月20日
URL :http://quantize-world.com/
入社式、歓迎会、送別会の食事プランも続々増えています。下記のような会社を利用するところも増えています。
oVice株式会社
https://ovice-kitchen.com/event-ceremony
社員教育にメタバースを利用する
メタバースの利用方法として、最も注目されているのがトレーニングです。現実世界であれば、社員の移動費用や時間が膨大に必要となりますが、メタバース上でのトレーニングであれば、その心配はなくなります。
また、zoomなどのオンラインビデオ会議でのトレーニングではコミュニケーションが一方通行になりがちでした。しかし、VRではより実践的な体験をすることができます。実習的な企業研修を仮想空間でアバターを使い実施することで、離れていた場所にいても、他のメンバーと一緒に実習することができます。お客様からとの実践的なロールプレイングも可能です。多様なシチュエーションを仮想空間に用意すれば、反復的でより実践的なトレーニングできることも魅力の一つです。
営業がメタバースに
営業・商品説明もメタバースで行う時代に
メタバースが世の中に認知されていくことで、営業マンもメタバースで営業や商品説明をする時代になっていきます。
製薬会社大手のアストラゼネカ日本法人では国内67カ所の営業所を廃止し、全国に散らばる約1800人の同僚が一堂に会するバーチャルオフィスを導入しました。その上でMRがメタバースで働ける環境を整え、医師との面談もオンライン面談に切り替える方針を打ち出しました。MRといえば医者との泥臭い対面営業が主流でしたが、時代に合わせ、生産性の向上を目指しています。この流れは他業界にも広がっていくことが予想されています。
メタバース内でのプロモーション及び販売活動
メタバース内で広報・プロモーション
広告や広報もメタバース内で行う会社が徐々に増えています。アメリカのコカ・コーラ社では、新飲料を現実世界で発売する前にメタバース上で先行体験し注目を浴びました。
また、ビールでおなじみのサントリーも「ザ・プレミアム・モルツ」の製造をメタバース上で体験できるサービスを提供しています。アバターを操作しながら、麦やホップの収穫から工場での製造まで一連の工程を学べる仕組みになっています。メタバース内での広報や、プロモーション、体験でお客様を獲得する世界が徐々に広がっています。実際にメタバースで行われている広報・広告関係を一部ご紹介させていただきます。
株価の歴史をジェットコースターで体験(SMBC日興証券)
SMBC日興証券ではメタバースで株価の歴史を学ぶことができる「株価連動ジェットコースター」を2021年に発表しました。ジェットコースターのコースが株価の変動の動きとなっており、2004年~2021年の日経平均株価チャートに合わせて上がったり落ちたりを繰り返し、日本の株価の歴史を学べるというとても面白い内容になっています。リーマンショックの急落からのアベノミクスの回復などをジェットコースターのコースで体験することができます。
モスバーガーの商品がメタバース店舗で
モスバーガーを経営する株式会社モスフードサービスは、2022年9月14日に新商品「月見フォカッチャ」と復刻商品「バーベキューフォカッチャ」の発売にあわせ、モスバーガー初の仮想店舗「モスバーガー ON THE MOON」をメタバース空間にオープンしました。東京の恵比寿東店、渋谷公園通り店、渋谷道玄坂店の3店舗では、VRゴーグル等の環境を用意されており、メタバース上で月見フォカッチャなどの製造を楽しめる体験会を無料で開催しました。
モスバーガー、「月見フォカッチャ」発売にあわせて初の「メタバース店舗」オープン。都内店舗でVR体験も
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1438445.html (参照記事)
とんねるずの木梨さんがメターバース上で個展を開催
芸能人としてだけでなく、芸術家としても人気のとんねるずの木梨憲武さんがXANA(ザナ)のメタバースの土地を所有し個展「木梨憲武メタバースギャラリー」を開催するという発表をしました。連動するNFTのリリースも予定し、今後さまざまなメタバースを舞台とした新しい形のアートを制作していく予定です。著名人がこのような動きをしてくれると、認知も一気に高まりますね。
BEERiLAND(プレミアムモルツをメタバース内で工場見学)
ビール大手のサントリーの商品であるプレミアムモルツの商品をメタバース内で工場見学することができます。工場見学もメタバース内でできる時代になりました。自社商品を知ってもらうためにも工場見学をメタバース内で行うことができます。
https://www.suntory.co.jp/factory/beer/beeriland/
メタバースでの広報・宣伝の注意点
このように広報や宣伝もメタバースで行われるケースも増えていきます。メタバースで広報・宣伝をする場合の注意点として、メタバースが3次元があげられます。今までの広報や宣伝は平面のモニターで2次元で行われていましたが、メタバースでは3次元のバーチャル空間となり、奥行きも考える必要があります。空間デザイン力も必要となるため、人がバーチャル空間でどこをどう見てどのように移動をするのかを計算して、広報や宣伝を行う必要があります。
また、現実世界よりも自由度が高く、足を止めさせて一定の場所に留めることが難しいという面もあります。そこで注目されているのが、空間を丸ごと設計するということです。空間全体をPRの場とすることで、ユーザーがその中で没頭することが可能となります。
バーチャルショッピング
オンラインショッピング市場が拡大していますが、メタバースによるバーチャルショッピングも今後普及が予想されています。オンラインショッピングでは、画像を見て商品を選ぶことしかできませんでしたが、バーチャルショップではアバターの店員とコミュニケーションをとって自分の疑問点を解決して、商品の特徴を教えてもらうことが可能です。NFT技術を使うことにより、複製できない商品を販売することもできるため、リアル世界と同じように限定商品なども販売できます。
メタバースはまだ発展途上の技術ですが、その可能性は無限大です。メタバースをビジネスに活用することで、新たな価値や体験を提供することができます。しかし、メタバースには多くの課題もあります。メタバースを理解し、適切に利用することが重要です。
今後もメタバースに関する最新情報やトレンドをお伝えしていきますので、ぜひご注目ください。